UXデザイン基本術|ユーザーが迷わないWebサイトを作る

UXデザイン基本術|ユーザーが迷わないWebサイトを作る

Webサイトを訪れたユーザーが「使いにくい」と感じて離脱してしまった経験はありませんか?現代のWeb制作では、見た目の美しさだけでなく、ユーザーが快適に目的を達成できる「体験設計」が重要になっています。

この記事では、WebUXデザインの基本概念から実践手法まで、初心者の方にもわかりやすく解説します。WebUXデザインとは何かを正しく理解し、ユーザー中心の設計思考を身につけ、実際のWebサイト制作に活かせる具体的な手法を学ぶことができるでしょう。

WebUXデザインとは何か?

UXデザインの定義と重要性

WebUXデザインとは、ユーザーがWebサイトやWebアプリケーションを使う際の体験全体を設計することです。「UX」は「User Experience(ユーザーエクスペリエンス)」の略で、ユーザーが製品やサービスを通じて感じる感情や印象のすべてを指します。

例えば、ECサイトであれば「商品を探しやすい」「購入手続きが簡単」「安心して買い物できる」といった体験をデザインします。Googleの調査によると、ユーザーの53%は読み込みに3秒以上かかるモバイルサイトを離脱し、使いにくいサイトは88%のユーザーが再訪問しないというデータがあります。

Webにおけるユーザー体験の特徴

WebのUXデザインの特徴は、ユーザーが能動的に情報を探し、操作を行う点です。瞬時に他のサイトに移動できるため、最初の数秒でユーザーの関心を引き、迷わせることなく目的達成へと導く設計が求められます。また、PC、スマートフォン、タブレットなど、様々なデバイスに対応する必要があります。

UIデザインとUXデザインの違い

UIデザインとUXデザインの違い

それぞれの役割

UIデザインの「UI」は「User Interface(ユーザーインターフェース)」の略で、ボタンの形や色、文字のサイズ、画像の配置など、目に見える要素のデザインを指します。一方、UXデザインはより広い範囲を担当し、サイトを訪れる前の期待から利用後の印象まで、ユーザーとサービスのすべての接点における体験を設計します。

簡単に言えば、UIデザインは「見た目と操作性」、UXデザインは「体験の設計」を担当します。UIデザインはUXデザインの一部として位置づけられ、良いUXを実現するための重要な手段の一つです。

具体例で理解する関係性

ECサイトの商品購入を例にすると、UIデザインが担当するのは「購入ボタンは緑色で角丸にする」「価格は赤文字で大きく表示する」といった具体的な見た目の決定です。UXデザインが担当するのは「購入までのステップ数を最小限に抑える」「不安を解消するレビュー機能を適切な場所に配置する」といった体験全体の流れです。

WebUXデザインの5段階モデル

Jesse James Garrettが提唱した「5段階モデル」は、抽象的な戦略レベルから具体的な表面レベルまで、5つの段階に分けてWebサイトの設計プロセスを整理したものです。各段階は下から上へと積み重なる構造になっています。

UXデザインの5段階モデル

1. 戦略(Strategy)

「なぜこのWebサイトを作るのか」を明確にします。企業サイトなら「問い合わせ件数を月間100件増やす」といった具体的な目標を設定し、ユーザーニーズを調査します。

2. 要件(Scope)

「何を作るのか」を具体化します。ECサイトであれば「商品検索機能」「カート機能」「決済機能」といった機能要件と「商品説明」「FAQ」といったコンテンツ要件を整理します。

3. 構造(Structure)

「どう組織化するか」を設計します。サイトマップの作成やナビゲーション構造の設計、ユーザーがボタンをクリックした時の画面遷移の設計を行います。

4. 骨格(Skeleton)

「どう配置するか」を決めます。色やデザインは考えず、ワイヤーフレームで各画面の構成要素の配置を具体化します。

5. 表層(Surface)

ビジュアルデザインを決定します。色、フォント、画像、アイコンなど、ユーザーが実際に目にする部分をデザインします。

WebUXデザインの実践手法

ユーザーリサーチの方法

効果的なWebUXデザインの出発点は、ユーザーを深く理解することです。定量的手法では、Googleアナリティクスで「どのページで離脱率が高いか」といったデータを収集します。定性的手法では、ユーザーインタビューで「なぜそう感じるのか」といった深い洞察を得ます。

ペルソナ設定とユーザージャーニー

リサーチで得た情報を基に、具体的なユーザー像である「ペルソナ」を作成します。例えば「田中恵子、32歳、2児の母、スマートフォンでの買い物が中心」といった設定を行い、チーム全体で同じユーザー像を共有します。次に、ペルソナがサービスを利用する一連の流れを「ユーザージャーニー」として描き、各段階での行動と感情を整理します。

ワイヤーフレーム・プロトタイプ作成

ワイヤーフレームは「画面の設計図」で、色やデザインは使わず、構成要素の配置を示します。その後、プロトタイプを作成し、実際にクリックして画面遷移を体験できるようにします。プロトタイプの価値は、実装前にユーザーテストができることです。

優れたWebUXデザインの具体例

成功事例

Amazonは膨大な商品数の中から目的の商品を素早く見つけられる検索体験を提供し、メルカリは複雑な出品手続きを段階的に分割することで初心者でも迷わず出品できる設計になっています。クックパッドは食材名での検索や調理時間での絞り込みなど、料理作りの具体的なシーンに合わせた機能を提供しています。

良いUXの共通要素

優れたWebサイトには共通する要素があります。情報の重要度に応じた明確な階層構造、サイト全体で統一されたデザインルール、ユーザーの操作に対する適切なフィードバック、エラー時の分かりやすいサポート、モバイル画面での使いやすさを最優先にした設計などです。

WebUXデザインの効果と価値

ビジネス成果への影響

優れたUXデザインは直接的にビジネス成果につながります。ECサイトでチェックアウトプロセスを最適化して購入完了率が35%向上した事例や、フォームの入力項目や回答形式を改善して入力完了率が155%向上したケースが報告されています。
また、分かりやすいナビゲーションと充実したFAQページにより、ユーザーが自力で問題を解決できるようになり、カスタマーサポートへの問い合わせ件数を大幅に削減した企業も多数あります。

参考:データで実証!UIUX改善で驚異のコンバージョン率向上を実現した事例と実践ガイド

参考:コンバージョンしやすいお問い合わせフォームを作成する6つの方法

ユーザー満足度向上のメリット

快適なユーザー体験はブランドに対する信頼と愛着を育み、リピーターの獲得につながります。満足度の高いユーザーは自然と他の人にサービスを推奨し、「友人に勧めたい」と回答するユーザーが多いサービスは、そうでないサービスと比較して2倍以上の成長率を示すという調査結果があります。

まとめ:WebUXデザインを始めるために

WebUXデザインは、ユーザーの課題解決とビジネス目標の達成を両立させる戦略的なアプローチです。5段階モデルに沿って体系的に進め、ユーザーリサーチ、ペルソナ設定、ワイヤーフレーム作成といった手法を組み合わせることで、データに基づいた設計判断を下すことができます。

今日から始められる第一歩

  • 現在のWebサイトの問題点を洗い出し、ユーザーがどこで困っているかを観察する
  • Googleアナリティクスで離脱率の高いページを特定する
  • 実際のユーザー5人に現在のサイトを使ってもらい、率直な感想を聞く
  • スマートフォンでの操作性を確認し、モバイルユーザーの体験を改善する

重要なのは、完璧を目指すよりも小さな改善を積み重ねることです。ユーザーの声に耳を傾け、データを基に仮説を立て、実際に試してみる。この繰り返しがWebUXデザインの本質です。今日から始められる小さな一歩を踏み出し、ユーザー中心の思考を身につけることで、より良いWebサイトを作り上げていきましょう。

KGC

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