BtoB Webマーケティングとは? BtoCとの決定的な違いと「勝てる」仕組みの作り方
「BtoBでWebマーケティングを始めたいものの、どこから着手すべきか分からない」「BtoCの手法を真似しても成果が出ない」――そんな悩みを抱える企業は少なくありません。BtoBには特有の意思決定構造や検討プロセスがあり、消費者向けの手法をそのまま当てはめても上手くいかないためです。
本記事では、BtoB Webマーケティングの基本からBtoCとの決定的な違い、そして実際に成果を上げるための具体的な施策まで体系的に解説します。5ステップの実践フレームワークと成功事例を通じて、あなたの会社でも再現できる「勝てる仕組み」の作り方が理解できます。初めてBtoB Webマーケティングに取り組む方でも、明日から実践できる知識が手に入ります。
目次
BtoB Webマーケティングとは?基本の定義と重要性
BtoB Webマーケティングの定義
BtoB Webマーケティングとは、企業が企業に対して商品やサービスを販売する際に、Webを活用して見込み客を獲得し、育成し、商談につなげる一連の活動を指します。従来の対面営業だけでなく、オウンドメディアやメールマーケティング、ウェビナーといったデジタル施策を組み合わせて、効率的に顧客との関係を構築します。
なぜ今BtoB企業にWebマーケティングが不可欠なのか
2023年の日本のBtoB EC市場は465兆円規模に成長し、EC化率も40%を突破しました。リモートワークや非対面取引が当たり前になった今、購買担当者はまずWebで情報収集し、ある程度の比較検討を済ませてから営業担当と話すようになりました。つまり「Webで選ばれない企業は、商談の土俵にすら上がれない」状況が進んでいます。
2024年最新版BtoB/BtoC市場の急成長とデジタルシフト
BtoB市場におけるデジタルシフトの現状
2024年の調査では、デジタル活用を意識するBtoB企業は46%程度にとどまり、業界全体で二極化が進んでいます。デジタル施策を実践する企業と、従来手法に依存する企業との差が、今後の競争力を大きく左右することになるでしょう。
BtoCマーケティングとの5つの決定的な違い
意思決定プロセスの違い(単独 vs 組織的)
BtoC取引では購入者本人が判断しますが、BtoBでは複数の部署や役職者が関与します。担当者が良いと思っても、部署や役職者ごとに見ているポイントが違うため、それぞれが判断しやすい材料を用意する必要があります。
検討期間の違い(短期 vs 長期)
BtoCでは数分から数日で購入に至りますが、BtoBでは数ヶ月から数年かかることも珍しくありません。高額な設備投資やシステム導入では、予算確保から社内稟議、複数社の比較検討まで、長期のプロセスを経ます。
この間、見込み客との関係を途切れさせないように、定期的なメールや事例紹介など、段階的な情報提供を継続する必要があります。
購買動機の違い(感情 vs 論理)
BtoC購入では「欲しい」「好き」といった感情が大きく作用しますが、BtoBでは「業務効率が何%向上するか」「投資回収に何年かかるか」といった論理的な判断が中心です。
導入後のメリットを数値で説明できるか”が検討に大きく影響します。感覚的な訴求よりも、データに基づいた提案が重視されます。
顧客単価とLTVの違い
BtoCの平均単価は数千円から数万円ですが、BtoBでは数十万円から数億円に及びます。さらに、一度取引が始まれば継続契約や追加発注が見込めるため、顧客生涯価値(LTV)も大きくなります。
このため、新規獲得だけでなく、既存顧客との長期的な関係構築に力を入れる必要があります。
コンテンツとメッセージングの違い
BtoCではビジュアル重視の感覚的な訴求が有効ですが、BtoBでは導入事例やホワイトペーパー、技術資料といった専門性の高いコンテンツが求められます。
「御社の課題をこう解決します」という具体的な提案と、実際の成果を示すデータが、購買判断を後押しします。
BtoB Webマーケティングが「難しい」3つの理由と解決策
リードの質の判断が難しい
資料をダウンロードした人全員に営業が電話をかけても、ほとんどが「検討段階ではない」と断られてしまいます。中には学生や競合他社の情報収集も混ざっているからです。この問題には、点数をつけて優先順位を決める方法が使えます。
例えば『部長以上で従業員100名以上なら50点』『料金ページを3回見たら30点』といった基準を設定し、合計スコアが一定以上の人のみに営業が接点を持つ運用です。
営業との連携がうまくいかない
マーケティング担当者が集めた見込み客リストを営業に渡しても「こんな人に電話しても意味がない」と文句を言われ、マーケティング側は「もっと積極的に動いてほしい」と不満を持つ状況はよくあります。これを防ぐには、最初に営業と「どの条件を満たす見込み客なら “営業がフォローすべき” と合意できるか」を決めておくことです。
例えば「問い合わせフォームから連絡があり、予算も決まっている企業」といった具体的な条件を両者で合意します。
成果が見えにくく効果測定が複雑
ブログを書いたり広告を出したりしても、それが実際の売上につながったのか分からず、上司に「効果があるのか?」と聞かれて答えられない経験は多くの担当者が持っています。
解決するには、まず「資料請求1件あたりいくらかかったか」「資料請求した人の何%が商談になったか」といった数字を毎月記録します。そして「メルマガ経由の人は商談になりやすい」といった傾向が見えたら、その施策に予算を増やすという判断ができるようになります。
BtoB Webマーケティングの主要施策
コンテンツマーケティング(オウンドメディア・ホワイトペーパー)
自社のブログやメディアで業界の課題解決方法を発信し、見込み客を集める手法です。例えば製造業向けソフトウェア会社なら「生産管理の効率化」といった記事を書きくことで、検索経由で見込み客を継続的に呼び込むチャンネルになります。さらに詳しい情報をPDF資料(ホワイトペーパー)にまとめ、ダウンロードと引き換えにメールアドレスを取得することで、継続的にアプローチできる見込み客リストを作れます。
SEO・リスティング広告
SEOは検索結果の上位に自社サイトを表示させる取り組みで、リスティング広告は検索結果に有料で広告を出す方法です。例えば「勤怠管理システム 比較」で検索した人は導入を検討している可能性が高いため、この検索語で上位表示されれば効率的に見込み客を集められます。リスティング広告なら即座に上位表示できますが、費用がかかります。
メールマーケティング・MAツール活用
過去に資料請求した人に対して、定期的に役立つ情報をメールで送り続ける施策です。MAツールを使えば、行動に合わせてパーソナライズされたフォローが自動化できます。例えば「料金ページを見た人には翌日に導入事例を送る」「3回メールを開封した人にはセミナー案内を送る」といった設定が可能で、手作業では難しい細かなフォローを効率化できます。
ウェビナー・オンラインイベント
オンラインセミナーを開催し、製品の使い方や業界トレンドを解説する手法です。参加者は関心の高い見込み客であり、セミナー後のアンケートで具体的な課題を聞き出せば、営業への引き継ぎもスムーズです。録画を後日配信すれば、当日参加できなかった人にもリーチでき、一度の準備で複数回活用できる効率の良い施策です。
SNSマーケティング(X・Facebook活用)
Xでは業界の最新情報を素早く共有し認知度を高められます。Facebook企業ページでは事例や製品情報を発信し、既存顧客との関係強化にも役立ちます。即座に商談につながるわけではなく、長期的な認知構築の手段として活用します。
「勝てる」仕組みの作り方:5ステップの実践フレームワーク
ステップ1:誰に何を売るかを具体的に決める
まず「どんな人に売るのか」を細かく設定します。例えば「従業員50名の製造業、総務部長、40代、社長からコスト削減を求められている」といった人物像です。次にその人が商品を買うまでに
- 課題を認識する
- 情報収集する
- 複数社を比較する
- 社内で稟議/承認を取る
という流れをたどるので、各段階でどんな情報があれば次に進めるかを考えます。
ステップ2:見込み客を集める入口を作る
お客さんが自社を見つけて連絡先を教えてくれる仕組みを作ります。例えばブログ記事を書いて検索で見つけてもらい、記事の最後に「もっと詳しい資料はこちら」とボタンを置きます。資料をダウンロードする際にメールアドレスと会社名を入力してもらえば、後で連絡できるリストができます。広告や展示会など、複数の入口を用意しておくことも大切です。
ステップ3:見込み客との関係を温める
資料請求した人にすぐ営業電話をしても「まだ検討してません」と断られることがほとんどです。そこで少しずつ情報を送って関心を高めていきます。例えば最初の週は業界の動向、2週目は他社の成功事例、3週目は製品の比較表といった形で、検討段階に合わせ、徐々に”購入判断に必要な情報”へ近づけていきます。ツールを使えば自動でメールを送れるので、手間をかけずに続けられます。
ステップ4:営業に渡すタイミングを決める
どの段階で営業担当者が電話をかけるかを明確にします。例えば「料金ページを3回見た」「セミナーに参加した」「従業員100名以上の企業」といった条件を作り、当てはまる人だけに営業が連絡するようにします。こうすると営業は本当に興味がある人だけに時間を使えるので、成約率が上がります。
ステップ5:数字を見て改善を繰り返す
月に1回、何人が資料請求して、そのうち何人が商談になって、何人が契約したかを確認します。例えば「資料請求は多いのに商談が少ない」なら、営業に渡す基準が緩すぎるかもしれません。「商談は多いのに契約が少ない」なら、営業の提案方法に問題があるかもしれません。数字を見ながら原因を探し、改善を続けることで成果が積み上がっていきます。
BtoB Webマーケティングの成功事例3選
事例1:キヤノンマーケティングジャパンのBtoB ECサイト強化
従来は営業担当者が顧客を訪問して製品を提案するスタイルでしたが、インターネットの普及で顧客が事前にWebで調査するようになり、BtoB向けECサイトの強化に着手しました。デジタルマーケティングに本格的に取り組んだ結果、製品によってはサイトのページビューが5から6倍に増加し、売上の25%がWeb経由での取引となりました
事例2:ストライク社のオウンドメディア「M&A Online」
M&A仲介を手がけるストライクは、M&A専門メディア「M&A Online」を立ち上げました。M&Aデータベースや業界ニュースをすべて無料で公開し、広報部を新設してメディア露出も増やしました。専門性の高い情報を発信し続けた結果、M&A専門メディアとして多くの見込み客を獲得することに成功しています。オウンドメディアを通じた情報発信が、主力事業の認知拡大につながった事例です。
事例3:製造業のWebサイト改善で問い合わせ3.1倍
パーツフィーダを扱う製造会社は、Webサイトの導線や情報設計を見直しました。製品の技術情報や活用事例を充実させ、問い合わせフォームまでの流れを分かりやすく改善した結果、問い合わせ数が従来の3.1倍に増加しました。展示会に頼らずとも、Webサイトから安定的に見込み客を獲得できる体制を構築しています。
まとめ:BtoB Webマーケティング成功の3つのポイント
BtoB Webマーケティングで成果を出すには、第一に「BtoCとの違いを理解する」こと、第二に「見込み客を段階的に育てる仕組みを作る」こと、第三に「営業部門と密に連携する」ことが不可欠です。
一度に完璧を目指さず、まずはWebサイトの改善や資料ダウンロードの導線作りなど、できることから着実に始めましょう。

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